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くちびるにはなうた

2006年4月〜求人誌「週間FREE」誌上で連載中

毒も花もある日々のうた

これまでしてきた仕事や、今の仕事やくらしについて書いています

2008年 3月4日

くちびるにはなうたーvol.94 「ひなまつりの祝い方」

3月3日のひなまつり。女の子のみなさん、祝ってもらいましたか?いつまでが女の子なのか。いつまでお祝いしてもらえるのか。というと。結婚するまでだそうです。だから未婚のうちは何歳でも女の子として祝ってもらえるんだよ!というわけで、私は自分でお祝いをしました。同居する女の子と部屋に桃や菜の花を飾り、小さい頃に母親がいつも作ってくれた「ひしもち風押し寿司」(写真)を作りました。段々に具を入れて押し寿司を作り(具は甘辛く煮たツナと小松菜)四角く切って卵やのりを飾ります。これを食べて、私は押し寿司が大好きになったのです。小さい頃の食卓にはこの押し寿司と、大きなイチゴが乗ったケーキが並べば完璧!夕食時、父親はいないことが多かったのですが、兄二人と母とひなまつりメニューを食べると、自分がとても大切されていると感じたものです。そしてひなまつりが大好きになって毎年待ち遠しかったのです。行事にまつわる料理や、その日を楽しみにする気持ち。幸せな家庭の象徴ではありませんか!いつかそんな食卓を作りたいな、と夢見ながら、人生の偶然に身をまかせ、女同士で祝ったのでした。ピース。

「スイッチ」

体のどこかに
あるんだろう

起きる
寝る
ひらめく
忘れる
愛する
冷める

いつもどこかで
動いてる

2008年 3月5日

くちびるにはなうたーvol.95 「音の記憶」

五感の中で、私は音から受け取る感覚が一番大きい、といつも感じています。生活音や環境音、音楽や声や。毎日の生活が音でつながれていくような感覚。これを書いている今、2階に住む同居人は掃除中。がたごとごと。たまに、だんっ。何か落としたみたい。など。
それはよいとして、昨日。坂元昭二さんというギタリストのアルバムに参加するため、録音をしました。坂元さんが書いたメロディーに私が1曲歌詞を付けてピアノと歌を演奏するという大企画。坂元は、ドラマ「北の国から」でサウンドトラックを演奏していた方です。北の国からは、私が小さい頃に大きな感動をもらった大切なドラマです。坂元さんと出会って、演奏を初めて生で聴いたとき、そのときの感情や、家族との幸せな時間が一気によみがえりました。音と記憶はこんなに結びついているものなんだと、そのときとても驚きました。だから今も、坂元さんの演奏を聴いていると、いつも幸せになってしまうのです。そんなギタリストのアルバムに参加できたことは本当にうれしかった!坂元さんの世界観に入り込めたかな。アルバムができあがったらまたお知らせしますね。ぜひみなさんにも楽しんでほしいです。記憶がよみがえる方もいるかな。ピース。

「音」

朝の音
ドアが開く
階段を下りる
蛇口をひねる
顔を洗う

夜の音
ドライヤー
階段をのぼる
ドアを閉める
電気を消す

2008年 3月16日

くちびるにはなうたーvol.96 「春の話」

春風、春雨、三寒四温。このところ、春の天気を象徴するような毎日の変化に、ついていけない体が一つ。もうその話はいいよ、どこもかしこも。と思われるでしょうけれど。花粉。毎日格闘している人。格闘している人を横目に見ながら働いている人。気が滅入りますね。3人の同居生活の中で、私は重症、2人目は軽症、もう一人は全くなし。これが世の中の比率ととらえて良いのでしょうか。今私は熱を計りながらこのエッセイを書いていて、書く前には目薬を差し、その前には点鼻薬、その前には咳とアレルギーの薬、と薬三昧。咳や熱は風邪のときと同じような状態です。春ですね。春、春、花粉じゃなくて何か楽しい話し。花が美しく、木が芽吹き、野菜が美味しい!植物が元気を取り戻してきました。一緒に美しくなったり芽吹いたり美味しくなったりしたいものですが、今はとてもそんな状況じゃなく、だから今は元気を下さい、植物たち。ぼーっとした頭と涙目に映る春の景色を彩って下さい。もっと春の楽しみを見つけられるまでね。お願いです、今日のところはそんな感じで。ピース。

「ものがこわれるとき」

ラジカセがこわれると
ライトもこわれたり

冷蔵庫が止まると
炊飯器も休んだり

みんな心配されたいのかしら
それとも
ただ、春なのかしら

2008年 3月24日

くちびるにはなうたーvol.97 「春、いのちを探す旅」

花粉に負けてばかりはいられないと、出掛けることにしました。群馬。露天風呂に春スキーにそして、ずっと行きたかった天文台。小高い丘の上に建つぐんま天文台まで、駐車場から20分ほど歩きました。灯りから一歩一歩離れていく遊歩道。丘の上の建物の横に立つと、月明かりがとても明るく感じる紺色の夜空の遠くの方に、雪山が連なっていました。初めて見る景色。紺色の空に白い山。空気がいつもよりとても細かい粒子になったみたいに感じました。ひんやりと透明。ここは週末は夜10時まで、大きな望遠鏡を覗くことができるほか、展示や望遠鏡の貸し出しなどとても充実した内容の天文台です。ホームページを時々覗いては憧れていた場所でした。直径11メートルのドームが回転し、口径150cmの巨大な望遠鏡が宇宙を探っていました。研究員の説明を受けながら、生まれたての星、死にそうな星、土星などをすぐそこにあるようにはっきりと見ました。どの星も、地球からの距離や、生きてきた時間は、私たちが普段使うことのない単位で語られました。でも星も人間も一番最初は炭素からできるんだって。宇宙の中の孤独は、一度生まれたらそれぞれの明るさで光ることをやめないで、他のものとの距離を保ちながら、生きて死んでいくのでした。ピース。

「スキー」

一度のぼったらさいご
滑り落ちるだけ
ひざが震えても
腰がへんに曲がっても

どちらかというとね
リフトに乗るとき
こころがおどるの
景色を眺めてのんびりと

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