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くちびるにはなうた

2006年4月〜求人誌「週間FREE」誌上で連載中

毒も花もある日々のうた

これまでしてきた仕事や、今の仕事やくらしについて書いています

2007年 3月5日 

くちびるにはなうたーvol.45 「脱サラ、そして」

2003年に、勤めていた出版社を辞めました。この年、私は29歳。大学を卒業した年とは、「働くこと」に対するイメージが随分と変わっていました。「いいことをしたい。」「人の喜ぶ顔が見たい。」自分の手が生み出す何かで、人を喜ばせたい、なんて、20代の仕事では思えなかったことでした。できるとも思えなかったのです。会社勤めをしながら、録音した曲を集めて「話のつづき」というアルバムを作った年でもありました。創作、ライブ、音楽療法。音楽を人と共有していく仕事には、無限の可能性と、想像もできない難しさと、経験したことのない喜びを秘めているだろうと、それを思うだけでとても嬉しかったのを覚えています。
それから早4年。日々、音楽と人とのあいだで様々なことを経験して感じて考えることが続いています。これまでこの欄に、過去に「働いてきたこと」について書いてきましたが、これからは今の音楽と暮らしのことを書いていきます。
「働く」ことが、こんなに幅広い意味を持っているとは。20代サラリーマン時代には味わえなかった感覚を、少しでも伝えられる文章が書けるといいな。これからもどうぞよろしくね。

♪「暖冬」

今年はスキーはできません
あそこの山にだれもいない

今年はゴルフは休みません
雪が降らずにおおもうけ!

想像してみよう丸い地球
日々海広がって陸狭まる

2007年 3月9日 

くちびるにはなうたーvol.46 「脱サラ、の中身」

2003年に、勤めていた出版社を辞めました。この年、私は29歳。会社勤めをしながら、「話のつづき」というアルバムを作った年でもありました。さてこれをどうやって売ったらよいのか?とりあえず音楽業界の様々な仕事の連絡先が載っている「musicman」という辞書の様なものを買いました。そして、気が合いそうな音楽を作っている会社、人に音源を送りました。100通送る、と決めてしぼりました。連絡が返ってきてお会いできたのは6人くらいだったかなあ。その中で「ここまでできているなら、自分でレーベルを作ったら?」と言う方に出会いました。今はi-depというユニットをヒットさせているディレクターさんです。CDのプレス、印刷、流通の業者、CD店の人、様々な人を紹介してくれました。まさかこんなことまでできるなんて。初めてのことが大好きでムコウミズな私は、音を人に届けるために必要な仕事を進めていきました。このころ、家で本の編集の仕事を続けていましたので、朝起きてから寝るまで、時間を割り振って2つの仕事をしていました。大きな変化は、通勤時間がないこと、自分でご飯を作って食べられること。生活と仕事が同じように存在していきました。つづく。

♪「さくら」

いつもなら 待ち遠しい
いつ咲くの?
お花見するの?
どうするの?

今年はね ちょっと怖い
もう咲くの
もう散っちゃうの
はやすぎる!

そしてまた 異常気象ネタに
花が咲く

2007年 3月19日

くちびるにはなうたーvol.47 「山本氏との出会い」

自分の手で仕事を作っていく道のりでは、人との出会いが一番大切なきっかけになります。今日は出会いのお話しを。2003年にファーストアルバムの「話のつづき」をリリースしたときに、ウサトリーヌレコードというプライベートのレーベルを立ち上げ、インディペンデントな活動を始めました。もちろん一人でできたわけはなく、親身になって協力してくれる方のお陰で活動が始められました。一番の協力者はパーカッショニストの山本恭久さん。2000年の終わりに吉祥寺にある老舗のライブハウス、MANDA-LA2で知り合いました。対バンで演奏していた私の「にっこりわらって」という曲がすごくよかったよ!!、と言って話しかけてくれました。山本さんは制作のプロデューサーとして私の作品をまとめ、売る段階では全国のCDショップやラジオ局に掛け合い、インストアイベントの機会があれば一緒に演奏をしてくれるなど、レーベルを立ち上げて作品を発表する細かな仕事を一緒にしてくれました。ecoという名前の由来は、環境に「echo(響き)」があるように、という気持ちでみんなで考えました。いろいろな環境に、いろいろなかたちでの音楽がある。歌や音楽のいいあり方や可能性を試していきたい。山本氏は、その思いを実現する滑り出しの背中を押してくれた人でした。つづく。

♪「にっこりわらって」

正しいことも 
スローガンも
誓いも 
おっきな声で唱えたりしないで

ときどき目を見て
それでにっこりして
そんな風に
ずっとずっとやってこう

 

2007年 3月31日

くちびるにはなうたーvol.48 「サウンドスケープ」

歌うこと、ピアノを弾くこと、曲をつくること。人の生演奏を聴きながらおいしいものを食べること。これが私の音楽の楽しみ方です。これにここ数年、新しい楽しみができました。自然の音を録音すること。波の音、川が流れる音(できれば小川が望ましい)、森の木が揺れる音、鳥が近くで遠くでさえずる声。猫や犬や鈴虫やかえるの声。さまざまな季節の音が集まってきました。音を録りたくなるのは、「あ、ここは車の音がしない。」と思ったときです。そういうところって東京に住んでいると滅多にないのです。だからどこかに出掛けるときは必ずMDレコーダーを持って行きます。
ふと、これまで、人工的な音を排除しようとしてきたことに気づきました。「自然の音がいい音。でもそれだけじゃないよなあ。」と思ってMDの中身を聞き返していると、人工の環境音で好きなものがありました。まずは花火の音!単発だと銃声に聞こえかねないのですが、連発されると本当に美しい音。映像が目に浮かびます。それから、グアムの海でモーターボートの音を録った音。モーター音に遅れて、ちゃぷちゃぷとボートから寄せられた独特の波音がしました。暮らしの中にある好きな音を探してみると、すごく楽しいよ。

♪「好きな音」

まずはやっぱり声!
登校下校の子供の声

それから 料理をつくる音
皮むき、刻んで、炒めてね
音から匂いがたちこめそう

雨、風、カミナリ、鳥の声
人が出す音と混ざるといい

2007年 3月31日

くちびるにはなうたーvol.49 「音楽療法」

さくらが咲きましたね。「蘇州夜曲」という古く美しい曲にこんな一節があります。「水の蘇州の花散る春を 惜しむか柳がすすり泣く」東洋の価値観では、「花が散る」様がとても大切に扱われているような気がします。みなさんの春はどんな感じでしょうか?
4年前から音楽療法の勉強をしてきました。この欄にも書いてきましたが、医療の分野に興味を持ち、何か私にできることがないかと模索してきました。音楽が医療や福祉の分野でリハビリに使われるという「音楽療法」には、年々、関わる人が増えているように感じます。私もこの4月から、近所の福祉園で音楽療法の時間を持てることになりました。心や体について、様々な特徴を持つ人々と一緒に、音楽を介して良い変化を期待していく時間。少しずつの変化でも、細かく気づいていけるように、大切に過ごしていきたいと思います。そして続けていくうちに、音楽療法ってどういうものなのか、私なりにみつけていきたいと思います。これから私の目の前で奇跡が起こっていったら、きっとみなさんにもご報告しますね。

♪「おんがく」

流れるおんがくの速さで
時間が流れていく

だからかしら?ららら?

若者は速いリズムを
老人はゆっくりな歌を
好むのはどうしてかしら?

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