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くちびるにはなうた

2006年4月〜求人誌「週間FREE」誌上で連載中

毒も花もある日々のうた

これまでしてきた仕事や、今の仕事やくらしについて書いています

2007年 11月4日

くちびるにはなうたーvol.78 「葉皿」

久しぶりに器を作りに行きました。大子の山奥の、おじの工房へ。紅葉盛りにはあと2週間かな、と話しながら。あの木は早いね、と黄色や赤に染まった木を見つけながら、両親とのドライブ。離れて暮らしていると、こんな当たり前の時間を楽しめるのがいいのです。
さて今回は冷や奴の皿を作ろうと決めていました。手のひらくらいの大きさで、平らで、豆腐の水がこぼれない程度の丸み。それだけを決めて行きました。昼に到着し、おじが打ってくれたうどんを、手作りのムキタケというキノコの汁で堪能し、さあ。
「葉っぱの形にしたら?」とおじの一言で「すてき!」と背筋が伸びた私は、葉脈を皿に写すことを思いました。イチジク、キウイ、アザミ、ヨモギ。周りにある葉をみんなで集めて粘土に押しつけました。写真は母の手で伸ばされる粘土。葉が粘土にぴったり付いたらまわりを持ち上げ、皿のように形作っていきます。6枚の皿を作り終えると私の短い集中力は疲れ果てていました。一ヶ月くらい乾かして焼き上げます。葉っぱも一緒に焼かれます。あああ、たのしみ。目に見えるものを作れるのはいいなあ、と皿たちを眺めながら満ち足りた気持ちを味わっていました。ピース。

♪「タローのこと」

しんせきの家の
キツネ似の
タローはすごく
足がはやい

林のなかを
かける姿は
野生そのもの
右から左

大きな耳と尾
澄んだ目の
タローはすごく
足がはやい

2007年 11月12日

くちびるにはなうたーvol.79 「夫婦で働くこと」

私の2枚のアルバムや、水戸ホーリーホックの応援歌CDのジャケットに絵を描いてくれている、亀山達矢さんの結婚パーティーに行って来ました。お相手は一緒に絵を描き、作品を作っている方。2人はtupera tupera(ツペラ ツペラ)というユニットで活動しています。筆と絵の具で絵を描くのではなく、紙や布を染めて切って張り合わせて絵を作ったり、木やガラスや石や、とにかく彼らの手にかかればどんな素材も楽しい形に組み合わせられて、立体でも平面でも、活き活きとした命が生まれるのです。作品を生み出し続ける生活について話を聞くと、二人の役割分担などは特になくて、その都度話し合いながら、アイディアを出し合って、手作業を繰り返す、とのこと。そんな二人の仕事ぶりや暮らしぶりを、感心しながら眺めていました。出会って11年の2人に、来春には赤ちゃんが産まれるそうです。亀山さんとは出会って7年くらいになります。いつもものを作ることに真剣で、おもしろい、刺激的な存在。結婚パーティーでは、ひたすらに周りの人たちに感謝の気持ちを表していました。偉いなあ。感謝したいのは私の方でした。私もがんばろうと思わせてくれてありがとう。ピース。

♪「柿の木」

庭の大きな柿の木に
実った柿は七つだけ
あとからあとから
落ちてきた
青い柿の実
地面を埋めた

庭の大きな柿の木に
残った柿は大きくて
いかにもいかにも
エリートで
立派にずっしり
両手に乗った

2009年 11月20日

くちびるにはなうたーvol.80 「水中写真」

先日、ダイビングショップが主催する、水中写真コンテストを兼ねたパーティーで演奏してきました。去年から一緒にステージを作っている、中村卓哉さんのスライドショウに音楽をつけました。中村さんから、水中での呼吸音を映像から抜き出してもらい、波の音に混ぜて背景に流しながら、ピアノを弾きました。どんな場所も海の底のように真っ青な世界にして、そこの静寂や、流れや、遠くからの光を音にしたい。それが私が中村さんと作りたいステージです。プラネタリウムでこの世界を表現することを夢見つつ、バーやホテルのパーティーやサロンなどで発表しています。ところで先日のパーティーではダイビングショップの人たちの体が大きくて、自分がとても小さく思えました。実際小さいのだけど(156cm)、一緒に暮らしている女の子が148cmなので、そのサイズに慣れすぎてしまったのか、180cm以上ある中村さんや、がっちりしたダイバー達が本当に大きく見えました。海に入っているとたくましくなるんだなあ。ゾウとかキリンとか、大きな動物に対面したときのような怖さすら感じて、感覚をおもしろく思っていたのでした。空中で水中を感じること。写真に映った庭の柿の葉に顔があったこと。ピース。

♪「素もぐり」

あこがれは
素もぐり
重いタンクと
さようなら

魚のように
素もぐり
空気と重力も
さようなら

2009年 11月26日

くちびるにはなうたーvol.81 「カリン酒と音楽」

今年の4月から一緒に暮らしている三木千夏さんは、歌をうたっていて、11月23日、彼女のライブを初めてピアノでサポートしました。暮らしはじめてから7ヶ月が経っていました。その間、彼女が曲を作る様子や、作った歌を練習する様子を聴きながら暮らしていましたので、曲の内容はもちろん、感触や温度なども何となく私に染み込んでいました。だからライブで一緒に演奏することも特別なことではなく、彼女の音楽の一部、暮らしから生まれる歌の一部に、私はすぐになれた気がしました。生活の中で、彼女のギターや滑らかな声が、訥々と日々を歌っているので、それが本当の意味で暮らしのBGMになっているのです。いつか茨城でも千夏さんとライブをして、みなさんに聴いて欲しいです。
ライブの前日、念願のカリン酒を漬けました。6月に梅酒づくりを初体験して、あまりにも美味しくできたので漬けたくなったのです。秋晴れの光を浴びて姿もかわいいカリン酒(写真)!暮らしの中で、私の両手で、作れるものをこつこつと作り続けたいなあ。それでそれを人が喜んでくれたら。幸せな空想で満たされながら、カリン酒を眺めていました。ピース。
三木千夏ブログ→http://blog.livedoor.jp/one_tone

♪「ごほうび」

ひがしずむ
とたんに寒い
そんなとき
見上げると夕焼け

こごえる手
こすりあわせる
そんなとき
見上げると星空

 

 

 

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