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くちびるにはなうた

2006年4月〜求人誌「週間FREE」誌上で連載中

毒も花もある日々のうた

これまでしてきた仕事や、今の仕事やくらしについて書いています

2006年12月3日

くちびるにはなうたーvol.33 「医療誌づくり−4」

26歳のときに転職をして、医療についての冊子をつくる仕事をしていました。転職して2年が経ち、興味の方向で新しい仕事に手を挙げられるような立ち位置になってきました。その頃、会社で統合失調症という精神的な病気についての仕事を始めることになり、関わりたい人は冊子の企画を出してくれと言われました。体のことに続き、精神についても猛烈に興味がわきました。思春期の頃に心理学についての本を読みあさるようなタイプではなかったので、精神医学についてもゼロからのスタートでした。こころとからだ。どうつながってどうはなれているんだろう?疑問を解くきっかけを与えられたように、急速に統合失調症について、精神医学、心理学で有名な方の本を読み始めました。また新しいアリの巣の中に入ったように、知らない部屋がどんどん現れました。それは、体以上に目に見えないものを言葉にして、理由や未来を仮定し、コミュニケーションしようとする学問でした。どんなにパターンやモデルを設定しようとしても、ひとりひとりの精神はオリジナルで未知なものだと、どんな本を読んでいても思いました。これからしばらく、まじめで重い話しが続くかも知れません。つ・づ・く。

♪「フリスビー2」

広いところへ行こう
フリスビーでも投げよう
ぬげた靴が草転がる

できれば ちか場で
広いところへ行こう
帰り道 手をつないで
背中照らす祝福の夕日

2006年 12月10日 

くちびるにはなうたーvol.34  「医療誌づくり−5‘異分野対談誌’」

26歳から29歳まで、医療についての冊子をつくる仕事をしていました。会社で統合失調症という病気についての冊子をつくることになり、興味のある人は企画を出すようにと言われました。その道の研究をしている医師や心理学者の本をつまみ食いして私が出した企画は、統合失調症の専門医師と異分野の学者の対談、というものでした。医学ではない分野で、統合失調症について少しでも考えている人に興味がわきました。なぜか、と聞かれるとうまく説明できないのですが、うまく説明できない動機での興味を、私はいつもとても頼りにしているのです。それが直接的な理由です。きっと、統合失調症という病気が社会的にうまく存在することが難しいという特徴をもっているために、医学のなかだけではないところから、その病気を見ている人の考えが重要だとかなんとか、そんな直感だったと思います。
これまでのどの仕事もそうでしたが、この対談誌制作の仕事は、私の創作活動にとても大きな影響を及ぼしていました。何かをつくるという意識や過程が、小さなことから全て自分の頭や体にあるという距離感を感じていました。これからこの対談ひとつひとつを思いだしていこうと思います。つづく。

♪「年の瀬」

風邪を引いている人の匂い
ねつがある人の顔
風邪を引きそうな時の感じ
ねつが出る前の顔

何度もふゆを越して
何度も風邪をひいて
何だか分かってきた
何かその感触やらが

 

2006年 12月15日 

くちびるにはなうたーvol.35  「医療誌づくり−6‘異分野対談誌’」

26歳から29歳まで、医療についての冊子をつくる仕事をしていました。転職して2年目、会社で統合失調症という病気についての冊子をつくることになり、企画が求められていました。「統合失調症について研究する精神科医と、他分野の研究者との対談誌」。私が興味をもった研究者に会ってみたい、と思って出した企画が採用されました。仕事をして5年、自分が作りたいと思い立ったものを作る、初めての機会を得ました。一号を作る制作費が500万円ほどあり、企画、人選、編集の全ての決定権をもらいました。こんなことは、小さな出版社だから任されたのでしょう。とにかく誰かに指図をされることが嫌いで、完成が見えているもののために作業をすることが大の苦手なのです。この時の私は水を得た魚、ものすごい勢いでこの仕事にのめり込んで行きました。失敗を恐れない若くて無謀な女子でした。さて、一号目は創刊号ということで、統合失調症を研究する精神科医3人の鼎談という形をとりました。今後、どんな対談をしていったらよいか、現在の研究や状況を話してもらうという設定で、知恵を授かりたかったのです。鼎談の依頼、場所の設定、録音や撮影の準備、原稿おこし、原稿の校正、デザインの依頼、自分がこんなにてきぱきと働けることに驚いていました。そんな瞬間が、ある仕事をきっかけに、誰にでも訪れるのでしょうか。つづく。

♪「カレー」

いいにおーーーい
みんながそろって
そういうよ

だいこうぶーーつ
みんながいうのを
きいてきた

にっぽんインドにヨーロッパ
いろんなカレーがあるけどさ
いいにおーーーい
ならそれでよい

 

2006年 12月24日 

くちびるにはなうたーvol.36  「医療誌づくり−7‘異分野対談誌’」

26歳から29歳まで、医療についての冊子をつくる仕事をしていました。転職して2年目、統合失調症という病気について、精神科医と異分野の研究者が対談するという冊子をつくることになりました。創刊号に続き2号目は精神科医の木村敏さんと臨床心理学者の河合隼雄のお二人にお願いをしました。木村敏さんは統合失調症の研究者として長年執筆と臨床を実践されてきた方で、臨床心理学者の河合隼雄さんは木村敏さんと音楽仲間!そして2002年の当時、文化庁長官になられました。私は仕事をしていて会社での人間関係に悩んだり、仕事にうまく向き合えずに落ち込んだりしたときに、河合隼雄さんの「働きざかりの心理学」(新潮文庫)などの著書にとても励まされていました。広い視野を持って、思い切りのいい発想を、作りすぎない言葉で語りかけてくれる方だと、とても感謝していました。多忙なお二人が対談に応じてくださって、日程を調整でき、お二人の住む京都へと向かいました。つづく。

♪「さかなの目」

うみのなかにはひとりきり
ゆっくりゆっくり泳いだら
さかなが1ぴきやってきて
何だかぴったり目があった

ゆっくりゆっくり水をかく
その手の動きがこっけいに
あなたの目にはうつったの

くるくるくるくる手の回り
動いてわらっているように
一緒におよいでゆきました

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