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くちびるにはなうた

2006年4月〜求人誌「週間FREE」誌上で連載中

毒も花もある日々のうた

これまでしてきた仕事や、今の仕事やくらしについて書いています

 

2007年 1月14日 

くちびるにはなうたーvol.37  「医療誌づくり−8‘異分野対談誌’」

26歳から29歳まで、医療についての冊子をつくる仕事をしていました。統合失調症という病気について、専門としている精神科医と異分野の研究者が対談する冊子を企画しました。二号目で掲載する、精神科医の木村敏先生と臨床心理学者の河合隼雄先生の対談の当日、私は上司と共に、お二人の住んでいらっしゃる京都に向かいました。窓の外に歴史のありそうなお寺を見ながらの対談。京都というところは、ものごとを考えるのにとても適している、歴史の長さや深さを感じられる土地だと感じました。長く住んでいれば慣れてしまって何ということもないのかもしれませんが。それはさておき。怖いもの知らずの私も、尊敬する二人の先生を前にして、失礼があってはいけないと緊張しながら打ち合わせをして、対談を始めていただきました。約二時間の対談で、病気について、心理や社会や歴史などから探りつつ語り合うお二人を見ながら、「ああ、いい対談誌ができるなあ」と深いため息をついて、満ち足りた気持ちを味わっていました。対談の中で、迷ったり悩んだりしながら答えを探そうとするお二人の顔がとても真剣だったからです。この雰囲気を誌面に表したい、と本気で思いました。

♪「お正月」

今年のおせちは去年より
こんなにきれいで豪華なの
誇らしげな顔
お母さん

つらそうな顔をしているなあ
箱根の駅伝みつめては
一人でつぶやく
お父さん

いつもどおりがいいなんて
いつから考え始めたろう
ぼんやりと思う
私のこころ

 

2007年 1月14日 

くちびるにはなうたーvol.38  「医療誌づくり−9‘異分野対談誌’」

26歳から29歳まで、医療についての冊子をつくる仕事をしていました。27歳から29歳までの2年間は、統合失調症という病気について、専門としている精神科医と異分野の研究者が対談する冊子をつくっていました。三号目は言語についての鼎談。統合失調症の方の言語を研究する精神科医、内海健先生と中込和幸先生、言語学者の荻原裕子先生にお願いしました。言葉というものをそもそもどう捉えればよいのか、というお話しから始まり、それぞれの研究や考えを丁寧に話し合った対談でした。とても印象深かったことは、「こういうことなんじゃないかと考えているんですよ、まだ良くわからないんですけど」という語尾が三人の先生に多くあったことでした。こういう言葉や内容は、研究発表的な本を出すという前提の原稿には書けないことだと思いました。話し言葉だからこそ口をついて出る正直なところ。長年の研究とは対極にあるその場の三人の相互作用は、心地よい緊張感を作り出していました。患者さんがうまく社会とコミュニケーションできるような糸口を、リハビリテーションでしていくことはできないでしょうか、という投げかけでこの鼎談は終了しました。三号目にして、とても充実した異分野対談誌になったのです。つづく。

♪「一月」

お正月という世界から
もとの暮らしに帰ってきました

おせちやお餅ばかりから
やっとこ解放されました

さてと毎日はどうだった?
思い出しつつ はや半ば

 

2007年 1月21日 

くちびるにはなうたーvol.39  「医療誌づくり−10‘異分野対談誌’」

26歳から29歳まで、医療についての冊子をつくる仕事をしていました。27歳から29歳までの2年間は、統合失調症という病気について、専門としている精神科医と異分野の研究者が対談する冊子をつくっていました。四号目では、精神病理学者の新宮一成先生と精神科の臨床医師、張堅徳先生の対談で、最も重く重要なテーマ、自殺についての対談でした。この号では新宮先生は歴史的な研究成果などからの考察を、張先生は今、聞いて集めている話からまとめた考えを、お互いに交換するという対談でした。張先生は、統合失調症の患者さんで自殺未遂をして助かった方を一人一人訪問して、そのときの様子を話してもらうことを続けている方です。自殺のことしか考えられなくなるまでの過程、そこに踏み出す瞬間の意識状態を聞いていくことで、今自分が接している患者さんがその状態に近づいているのをできるだけ早く察知して、隙間を作らないようにしたい、というお話しでした。「残された人のことを少しでも考えてみてください。」これが張先生が何度も患者さんに言う言葉だとおっしゃっていました。最後に人をつなぎ止めるもの。この二人の先生は一生ずっと、人の中の一番重いところに関わりながら生きていくんだな、と私はしみじみとお二人の顔をみつめてしまったのでした。誠実に誌面を作らなくちゃ、と背筋を伸ばしてもいました。
つづく。

♪「チャイとモカ」

友達が2匹の犬を飼ってます
名前はチャイとモカといい
由来は毛色でありました

毎年の干支に化かされて
並んで写真を撮られては
プリントされて年賀状

ペットも年始に一仕事

2007年 1月28日 

くちびるにはなうたーvol.40  「医療誌づくり−11‘異分野対談誌’」

26歳から29歳まで、医療についての冊子をつくる仕事をしていました。27歳から29歳までの2年間は、統合失調症という病気について、専門としている精神科医と異分野の研究者が対談する冊子をつくっていました。五号目では、異分野対談を一休みして、統合失調症のスペシャリストで、精神科医に最もファンが多いと言われた精神科医、中井久夫先生にインタビューをしました。インタビュアーは同じく精神科医の八木剛平先生。中井先生は病気の発症を自然現象としてとらえ、経過や回復を気象の変化のように感じ取るとおっしゃいました。すべての状態は一方向でなくせめぎ合いの中にあること、すべての患者さんは完全な統合失調症ではなく、ある状態だということ。中井先生の視点はとても細かくて感覚的で、でもそれが病気のことを的確にとらえる本質だと、だれもに伝わる文章にしてきた方でした。ギリシャの詩を翻訳出版されたことがあり、診察と詩的状態が似ているとさらりとおっしゃる二枚目でした。自分で見て聞いて感じたことを自由に考えて意味を過不足なく捉えて言葉にすることだと。医学界で天才と仰がれてきた人は、インタビューのあいだもずっと、「しなやかで自由」な人でした。脱帽。つづく。

♪「友達の手」

今日までいろいろ試してきました
お肌にいいこと いい習慣
筆洗顔に美顔器に
高級品や手作り品

これからはじめて試してみましょ
エステティシャンになった友
彼女の手のひら アドバイス
どんな魔法が 起こるやら〜

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