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くちびるにはなうた

2006年4月〜求人誌「週間FREE」誌上で連載中

毒も花もある日々のうた

これまでしてきた仕事や、今の仕事やくらしについて書いています

2008年 2月4日

くちびるにはなうたーvol.90 「雪景色」

東京で、今年二度目の雪が降りました。節分の日。見慣れた風景も、汚れた屋根や路地も、真っ白に覆われて光っていました。無数の白が舞う空を見上げると、今いる時間や場所を忘れてしまうのでした。この感覚は。行ったことないけど天国みたいだな。「ディバラーナ/天国の庭」という名前のイベントをします。雪景色を眺めるような、きれいな気持ちになれるといいな。ぜひ遊びに来てください。

 

♪「雪だるま」

まゆげはみどり
クレソンで
おめめは小さめ
黒コショウ
くちびる真っ赤な
赤ピーマン
にっこりわらうと
あら不思議
雪に心が宿ったの

2008年 1月17日

くちびるにはなうたーvol.87 「冬の風景」

庭でたき火をしました。というのも、去年の七夕の日に同居人や集まった友達と一緒に作った笹の葉かざりを、そろそろ燃やした方がいいのでは、ということったからです。思い立ったら吉日。外は木枯らし。風に飛ばされないように注意をしながら庭の柿の木の枯れ葉を集めて、笹かざりの上にどっさりと積みました。さつまいもを中にしのばせることも忘れませんでした。いざ着火。笹の葉も柿れ葉も、からからに乾いていて、紙のように良く燃えました。木枯らしが火を煽り、葉っぱたちをあっという間に燃えかすにしてしまうので、何度も枯れ葉を集めてくべました。くべる、なんていう動詞は、久しく使っていなかったなあ。煽る、くすぶる、飛び火する。火から生まれて、人の行動を例えるような動詞が結構あるなあ。なんていうことを思いながら、火を眺めて煙に包まれていると、幸せな気分でした。どうしてだろう?ふむ。火を絶やさないようにがんばる、という動作も楽しいのでした。ふーん。そろそろ焼けたかな?割ってみた焼き芋からは湯気が上り、驚くほど甘かったのです。ピース。

♪「冬眠」

枯れ葉をめくると
あおあおとしたバッタが一匹
眠っていたみたい
こんなところで冬眠?
庭の水道のとなり

外は木枯らしの音
部屋にはしんとした空気だけ
眠っているひとり
どこからも遠いようで
あおい虫のとなり

2008年 2月18日

くちびるにはなうたーvol.91 「はなうたNUUちゃん」

2月11日は水戸のバブルでライブがありました。来てくださったみなさん、本当にありがとうございました。次の日、仕事をしながら「夕べはいい夜だったなあ」と胸んとこがあったかくなってくれているかしら。そんな夜だったらよかったけれど。シンガーソングライターのNUUちゃんと初めて水戸でライブをしました。彼女は私が探し求めてやまない「はなうたさん」。いつもそのとき思ったことを滑らかな声に乗せて、人が聞いていてもいなくても、歌っているのです。子供じゃなくて、大人の人でこんな人がいた!NUUちゃんに会ってすぐに大好きになってしまったのです。それだけでなく彼女はでデビュー10年目のシンガーソングライター、頭脳明晰、子供みたいな目、魅力的なところを数えたらキリがない女性でした。彼女とライブを作る時間も、ライブ当日も、本当に楽しかったのです。
今回お会いできなかった方も、またいつかいいはなうた時間を共有しましょう。

「時間」

音楽のリズムで
時間が流れると
1時間ははやく
1秒はゆっくり

地球のリズムで
音楽が流れると
1日はたいせつ
1年は刻まれる

2008年 2月18日

くちびるにはなうたーvol.92 「山と仲良く」

東京の奥多摩というところに行って来ました。山の手入れをするボランティア活動のためです。森づくりフォーラムというNPO法人が主催するこのイベントで、役に立つというよりはまず、山について知れたら、と思って行ってみました。木の種類のこと、山に住むトナカイの行動、のこぎりの使い方、環境問題と林業。小さな楽しみから大きな問題まで、スタッフの方が実感のこもった言葉で説明してくれました。海や山で遊ぶのが大好きな私は、その環境の危機について耳にはしても、実際何も行動していません。何かするべきなのかな。何をしたらいいのかな。1日山を歩き回って話を聞いて帰ってくると、答えはなくて体はものすごく疲れていました。自然はでかいな。写真は奥多摩の山です。林業は森林をペット化して経済価値をもたらすものだそう。今の日本は森林を飼い慣らすことも、野生に戻すこともできていない状態なんだって。
休みの日を使って、荒れた山を手入れする人々の顔や、昼休みに凍えて丸まった背中は、何とか山と仲良く共存していこうと努力する人間の姿でした。ピース。

「森と木」

遠くで見ると
山はさんかく
山にはいると
木がさんかく

木や草や虫が
食べ合って
光を分けて
生きている


服を着替えると
いつもと同じ朝だった
引き戻される世界

 

2008年 2月23日

くちびるにはなうた-vol.93 「土のロマン」

先日、おじの陶芸工房で作らせてもらった皿が出来上がりました(写真)。これは一番のお気に入りで、冷や奴皿。皿を作りに行った日、工房の周りに生えていた葉を皿に写しました。土と葉を一緒にめん棒で延ばし、葉の葉脈を土に写し出したのです。葉は皿に付いたまま窯の中へ。葉は焼けてなくなっても、皿には葉の汁が微妙な焦げになって残っていました。写した葉は、よもぎ、あざみ、いちじく、キウイ。写真の葉はキウイです。左右約20cm、立派でしょう!葉っぱ一枚の命は短くて、葉脈をまじまじと見られることなんてきっとないのでしょうけれど、こうして土に写され、焼かれて、食卓に乗ると、半永久的に姿が残り、眺められる。土に育てられた葉が、土によってこの世に残り続ける。ロマンだなあ。陶芸のロマンはしばらく続きそうです。実際に自分が作った食器で食事をしていると数々の不都合があります。底がぐらぐらして食べにくい。微妙に大きすぎたり小さすぎたり。重たくて持って食べることができない!など。市販の食器がいかに実用的で、よくできているか思い知らされます。不都合からの工夫、ここにもロマンがあるのです。ピース。

「カーテンの穴」

古いカーテンに
小さな穴が一つ
いろんなものが
顔を出す

朝には清潔な光
午後に冷たい空気
夕方には赤い光
夜には小さな虫

閉めたままの
古いカーテンに
通り道が一つ

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